259号表紙

No.259(平成6年5月)

特集:

沿線を歩く 地下鉄海岸線

沿線を歩く 地下鉄海岸線

地下鉄海岸線 着工
趣ゆたかな下町を縫って延長約8km

開通は平成10年度(予定)

地下鉄海岸線の建設がはじまりました。
 この海岸線の通る長田・兵庫・中央区の南部地域は、古くから栄えたまちで開港以来120余年にわたって神戸の発展を支えてきました。下町特有の人情のこまやかさ、路地の緑、兵庫運河・造船所・中央卸売市場などの活気、そして歴史を伝える文化財や史跡も数多く残っています。今回は、これらの沿線を歩き、涌嶋克己さんのイラスト画を交えながらいろいろな顔を拾ってみました。
 海岸線は新長田〜三宮間(10駅)、延長約8kmを約15分で結びます。これが開通すると、沿線地域の足の便が飛躍的に良くなると同時に、新しいまちづくりをいっそう刺激し、その活性化を促進する起爆剤になると期待されています。

環境にも配慮 中量規模の低床車両
 地下鉄海岸線は、地下鉄建段にかかる膨大な費用を低減するため、車両は従来の地下鉄をやや小型化した中量規模で低床とし、騒音や振動を抑えます。既存の地下鉄に比べると、定員は80%になりますが、トンネルの外径も小さくて済みます。
 工事については、沿線住民の日常生活にできるだけ支障のないよう、主として地中深く掘り進める工法を採用し、路面交通など地上への影響を最小限にとどめます。

(左)下町の路地と高層マンション。路地はどことも緑が多い(兵庫区西出町)

写真
地下鉄海岸線路線図(駅名は仮称)
  • 写真新長田のランドマークであるジョイフラザ(左上)。それをはさんでJR(左)と阪神高速道路(右)が東西に走っている
  • 写真路地では立ち話の情景をよく見かける。この道は平忠度の腕塚堂への参道で、写真右側の古い家のぐるりを飾るサツキの鉢植えなどは、お参りに行く人たちに見てもらおうと、ご主人が丹精をこめているそうだ。下町の人情である(長田区駒ケ林町)
  • 写真庶民的な気安さがいっぱい小売市場。顔なじみの客が多い(長田区まるは市場)

みどり

  • 写真新しいまちづくりが進められている真野地区のコミュニティ道路「真野公園通り」。緑が多く、また、道路に面した工場の塀に描かれたイラストが人々の目を楽しませてくれる(長田区苅藻・浜添通)
  • 写真路地の子供たち。その表情ものどかである(兵庫区吉田町)
  • 写真緑がすっぽりと家を覆ったよう。見るからにほのぼのとした気分になる(兵庫区吉田町)
  • 写真ヤマザクラが美しい尻池街園。「一人が一個のゴミ拾い」の立て看板がほほえましい。清掃のボランティアは近くに住む街園管理会のお年寄り。毎年春、ここに模擬店も出て花まつりが盛大に行われている(長田区東尻池新町)<
イラスト
地下鉄海岸線沿線WAKKUN散歩!!イラスト画
涌嶋(わくしま)克己(かつみ)氏紹介
1950年神戸に生まれる。墨絵を得意とし、新聞・雑誌のイラストを多数手がけ、神戸、大阪、京都で毎年作品展を開催。1990年、絵本「ほっ」出版。長田区在住。
  • 写真今年もにぎやかに行われた長田マダン(4月22日、神楽小学校で)。マダンは広場のこと。在日韓国・朝鮮人が一つになって民族文化を伝えようという行事である
  • 写真新長田はーとふるギャラリー。JR新長田駅西側の高架壁面が、楽しい壁画で美しく生まれ変わった
  • 写真捕れたての魚の荷揚げでにぎわう朝の長田港。岸辺の市漁業協同組合駒ヶ林支部でセリにかけられる
  • 写真兵庫区三石通「こども遊戯道路」。白、ブルー、オレンジの半円の力強いラインが美しい。道路の向かって左側は下水道局中部管理事務所

歴史

  • 写真松王丸の石塔(築島寺)。清盛が経が島築造の際、暴風や大波のため非常な難工事になった。占い師のことばによって海神のたたりを治めるため、讃岐香川の領主大井民部の子で17歳の松王丸が人柱になることを申し出て海底に沈められた。島の完成後、けなげな松王丸の菩提をとむらうために建てたのが築島寺といわれている(兵庫区島上町)
  • 写真平清盛像(六波羅密寺蔵)
  • 写真兵庫津の道と清盛塚。古くから海陸交通の要所であった兵庫津は、歴史をしのぶ史跡や文化財が数多く残っており、これらを結ぶ道路として「兵庫津の道」が整備された。清盛塚は兵庫の基礎をつくった平清盛の供養塔。鎌倉期の十三重の優秀な石塔の横に、清盛の銅像と琵琶塚がある(兵庫区切戸町)
  • 写真高田屋嘉兵衛顕彰碑。嘉兵衛は淡路に生まれ、寛政4年(1792)24歳のとき兵庫に来住。江戸通いの船に乗り、わすが4年ののち1500石積みの船を建造して船主となり、巨利を得た。碑は以前は入江小学校の校庭にあったが、竹尾稲荷神社(兵庫区七宮町)に移された
  • 写真高田屋嘉兵衛献上灯籠。嘉兵衛が文政7年(1824)に海上安全のため献上。境内には平清盛の弟経盛の子、経俊の塚もある(兵庫区西出町、鎮守稲荷神社)
  • 写真岡方惣会所跡。古い兵庫は町方を地子方(じしかた)と呼び、岡方・北浜・南浜の三つに分かれて三方(みかた)といっていた。岡方は浜に接しない町々の総称。三方にはそれぞれ惣会所があり、選挙で選ばれた月番の総代や年寄りを大坂町奉行所から派遣された与力が指揮して行政を行っていた(兵庫区本町)
  • 写真和田神社の夜店
  • 写真和田神社「たんじり」(5月2日)。和田宮のだんじりは、摂津地方では岸和田に次ぐだんじり祭といわれていたが、戦後は長く途絶えていた。昭和53年、金平町のだんじりが修理され、青年が中心となってだんじり保存振興会が結成され昔のにぎわいを取り戻すようになった(兵庫区和田宮通)

活気

イラスト
  • 写真

    通勤客であふれるJR和田岬駅。造船所に勤める人が多い

    写真早朝のセリのあとのマグロの解体作業(中央卸売市場本場)
  • 写真大型タンカーの進水式(三菱重工業神戸造船所)
  • 写真朝の兵庫運河。材木を操るけんとびを手に、筏(いかだ)師が自在に丸太の上を動き回る
イラスト
  • 写真中央区の栄町線からJR神戸駅方面を望む。明治の建物と新しいクリスタルビルがうまく調和して、景観に厚みを増している
  • 写真高層のインテリジェントビルが林立するハーバーランド
イラスト
  • 写真だだだだ栄町通の道路の案内標識。かわいくて、やさしい街角のワンポイントだだだ
  • 写真昭和19年から30余年にわたって活躍したD511072。以前は元町西広場にあったが、広場の再整備にともない、東海道・山陽本線の起点(JR神戸駅)近くに移設。左側のJR線が高架になる前はここが線路敷だった
  • 写真落ち着いたまち並みにあわせたシックな道路案内。街角のあちこちに立っている(旧居留地)

調和

  • 写真フラワーロード(右端)から西の旧居留地を望む。この一帯は従来のオフィス街から、博物館・ショッピング…と各種の機能をもつ街に変ぼうしつつある
  • 写真都市景観形成地域に指定されている異国情緒の南京町(中央区栄町通)
  • 写真ルネッサンス様式の、扇状にひろがる玄関口をもつ神戸朝日ビル(中央区播磨町)
  • 写真新旧の本社ビルが並立(中央区浪花町、(株)ノザワ)
  • 写真東遊園地の噴水と市役所庁舎(中央区加納町)
  • 写真重厚な市立博物館の建物とよく似合うレトロ調のシティー・ループ(中央区京町)
写真

脈うつ鼓動

 地下鉄海岸線が通る兵庫区南部地域上空から東を望む。神戸の発展を古くから支えてきた海岸線一帯の鼓動が、脈うつように伝わってくる。(平成6年4月撮影)

地下鉄海岸線 沿線地域の主なまちづくり計画

 地下鉄海岸線の通る長田・兵庫・中央区の南部地域は、古くから神戸の発展を支えてきた活気のあるまちですが、一方で、木造住宅が多い地域では、人口の減少や高齢化が進み、インナーシティ現象が見られます。
 そこで現在、市では数々の都市開発プロジェクトを導入し、新しいまちづくりを進めています。プロジェクトの中で最も重要な地下鉄海岸線の着工とあわせて、主なまちづくり計画を紹介しますと…。

写真

市民の提案による浜山地区の整備イメージ(金平町付近から兵庫運河方面を望む

浜山地区
 浜山地区は、兵庫区南部の兵庫運河と苅藻島運河に囲まれた地域で、戦災を免れたこともあって、下町の良さが今に残り心の温かさの感じられるまちです。しかしながら、都市の基盤整備が遅れているため、高松線の拡幅にあわせて生活道路や公園の整備、老朽住宅の建て替え、コミュニティ住宅の建設、市場の再整備等を実施することとして、「子供からお年寄りまでが、安心して快適に暮らせる住みよいまちづくり」を目指し、事業を進めています。

写真

基本構想におけるイメージ図

御崎公園の再整備
 近年のサッカー等球技スポーツの需要の増大と高度化に対応するとともに、兵庫区南部地域の活性化を図るため、地下鉄海岸線の整備にあわせて御崎公園の再整備を行います。
 平成6年度は、同公園の敷地内で地下鉄海岸線ヤードの整備が始まるため、それにあわせて700台の地下駐車場の整備に着手。また、現在の球技場を国際級の試合や、Jリーグの試合に対応できる規模・内容に改修するとともに、地域住民のためのコミュニティー施設及びスポーツ施設を併設した新たな形態の球技場を目指し、6年度に基本設計を行う予定です。

写真

中突堤周辺地区再開発完成予想図

中突堤周辺地区
 中突堤周辺は、神戸港発展のルーツともいえる歴史的な場所であり、市街地に最も近接するウォーターフロントです。
 このため既存のメリケンパークを中心に、ハーバーランドから新港第1突堤までのゾーンを「海と船に親しめる都心のウォーターフロントの創造」を基本テーマに、一体的なウォーターフロントの拠点として再整備。港湾機能の集約・再配置を進めるとともに、水際線は旅客船・クルージング船の夕−ミナルや官公庁船の船だまりに、また、その背後には港湾業務の中枢施設や商業・文化・交流施設を配します。事業期間は平成3年度〜平成8年度(基盤整備)。

写真

キャナルタウン兵庫完成予想図

キャナルタウン兵庫完成予想図
 JR兵庫駅の南側、兵庫区と長田区にまたがる約35.6ヘクタールの地域を対象に、貨物駅跡地の約1,300戸を含め、地区全体で約1,700戸の高水準な都市型住宅を整備。あわせて文化・健康増進・福祉施設や道路、公園等の公共施設整備、潤いに満ちた住環境の整備を総合的に進めます。平成9年春、まちびらきを予定。

写真

新長田駅前地区完成予想図

新長田駅前地区
長田駅前地区はJR新長田駅の南側に位置し、面積は1.45ヘクタール。
 長田区は兵庫区と並んで人口の減少が著しく、高齢化、住宅の過密・老朽化、産業停滞等の都市問題が見られ、多くの整備課題を抱えています。
 市では、「神戸市インナーシティ総合整備基本計画」(平成元年度作成)のリーディングプロジェクトの一つとして、市街地再開発事業により、駅前広場、新長田南側線等の公共施設整備とあわせ、一体的なまちづくりを行い、(1)西の副都心の玄関口にふさわしい拠点の整備(2)老朽化密集住宅地区の更新(3)インナーシティ地区の活性化、をめざしています。

空き缶の分別収集を推進
「空缶リサイクルセンター」近く供用開始
 家庭から出る廃棄物の減量・資源化対策を強化するため、空き缶の分別収集を進める「空缶リサイクルセンター」(長田区・苅藻島クり一ンセンター内)が、近く供用を開始します。同センタ一の処理能力は日量20トン。
 市では、廃棄物について、限りある資源の有効利用と環境保全の観点から、従来の発生したごみ処理を中心とする対策だけでなく、ごみの発生段階からの抑制対策を一層進め、リサイクル型の社会を目指すことにしています。

  • 写真昨年10月から行われている空き缶の分別収集。これらの空き缶は「空缶リサイクルセンター」に集め、再生利用される
  • 写真空缶リサイクルセンター
ページトップへ