239号表紙

No.239(平成4年9月)

特集:

ハーバーランド

ハーバーランド

(左)
海につながるプロムナードの中心軸"ガス灯通り"。ガス灯は市花のアジサイをイメージしたデザインで、夜は両側の並木もライトアップされる

新しい物語がきっと始まる
みずみずしい"予感"に満ちた神戸ハーバーランド

  • 写真ハーバーウォ一クに彩りを添える神戸港旧信号所
  • 写真ハーバーランド広場から海沿いに延びるハーバーウォーク。海の向こうに真っ赤な神戸大橋が見える
  • 写真レンガ倉庫レストランとロートレックの絵、白いいす
写真
ハーバーランド配置図
1)神戸ハーバーランドセンタービル(西武百貨店、ホテルニューオータニほか)
2)ハーバ一ランドダイヤニッセイビル(阪急百海店、ダイエー、せいでんほか)
3)神戸ガスビル(地域冷暖房プラントNHK文化センター、映画館.専門店ほか)
4)ハウジング・デザインセンタ一神戸(住宅総合展示場)
5)神戸クリスタルタワ一(事務所)
6)日通パーキング(立体駐車場)
7)神戸市産業振興センタ一(市内産業の総合的支援施設)
8)ハーバーランドダイヤパーキング(立体駐車場)
9)モザイク・高浜フェリーターミナル(映画館、商業施設ほか)
10)神戸市総合児童センター(福祉施設)
11)神戸市総合教育センター(教育施設)
12)情報・文化ビル(文化商業施設・事務所)
13)煉瓦倉庫レストラン
14)LS・神戸(商葵施設)
15)ハ一バ一ランド派出所
16)神戸駅南駐車場
17)デュオこうべ(地下街)(通路・広場・店舗・ギャラリー)
18)ハーバ一ランド神戸駅前団地(住宅)
19)シティハイツハーバーランド(住宅)
20)メゾンビユ一ハ一バ−ランド(住宅)
21)神戸市立摩耶兵庫高等学校
22)神戸市立盲学校
23)神戸市立湊小学校

  • 写真南側上空から見たハーバーランド。東は元町、西は、新開地を徒歩圏エリアに含み、一大ゾーンとして新しく生まれ変わった
  • 写真"海につながる新都心"ハーバーランドの全景。写真手前、16角形の大屋根はJR神戸駅北側のデュオこうべ(山の手)。周囲はバスターミナル。ハーバーランドへは、バスターミナルやJR神戸駅、高速神戸駅から歩いてすぐだ

KOBE HARBORLAND アメニティ空間

 ハーバーランドを訪れる皆さんを最初に歓迎するのがアメニティ(快適)空間。ハーバーランドのエントランス、デュオこうべ浜の手の大きなアトリウム形式の広場・デュオド一ムや、5階まで吹き抜けの神戸ハーバーランドビルのスペ一スシアタ一(多目的広場)などがその代表格だ。屋内、屋外を問わず、自然光の安らぎを感じる空間が随所に採り入れられている。

  • 写真デュオこうべ浜の手の中央広場。ドームの天井は季節に応じて開閉できる可動シェルになっている。各種のイベントもここで開かれる。デュオこうべは、高速神戸駅からJR神戸駅の地下を通ってバーバーランドへ至る全長380mの新しい地下街
  • 写真5階まで吹き抜けの多目的広場(スペースシアター)。神戸ハーバーランドセンタービルの国道2号側にあり、大きなヤシの木の下で多彩なイベントが催される
  • 写真デュオこうべと西武百貨店の間の吹き抜け空間。ハーバーランドには、様々なデザインの屋根がある
  • 写真16角形の大屋根から自然光がふりそそぐデュオこうべ山の手のカスケード広場
  • 写真神戸開港の錦絵のある採光ドーム(デュオニうべ)

インテリジェントビル

 神戸ハーバーランドセンタービル(地下3階、地上23階)をトップに、ビル群は敷地の有効活用を図るため高層ビルが主体。しかも、オフィス・オートメーション、コミュニケーションの機能を合わせもつインテリジェントビルである。来年8月(予定)には、JR神戸駅前に建設が進められている地上32階の超高層オフィスビル「神戸クリスタルタワ一」もお目見えする。

  • 写真

    個性あふれるビル群。これまでの神戸にはない特色をもった複合ビルが整然と建ち並んでいる

    写真ビルの間から魚眼レンズで見たインテリジェントビル
  • 写真未来を先取りした高度情報センターやホテル・店舗棟など多彩な機能をもつ神戸バーバーランドセンタービル。手前右側は波をイメージしたスペースシアターの外観。ウォーターフロントの街・バーバーランドを象徴している

プロムナード

 ガス灯の並ぶプロムナード、海辺の公園、入江にかかるはね橋、海沿いの棧橋の遊歩道。また建物の周囲には、ウォーターフロントのイメージを活かした人工運河やプロムナードをめぐらせ、ビル間には立体的遊歩道ネットワーク(スカイウォ一ク)が形成されている。10月1日にオープンする高さ38m、長さ200mの歩行者通路(キャナルガーデン)も注目を集めることだろう。

  • 写真ハーバーランド広場のモニュメント・はね橋。夜になるとイルミネーションで浮かび上がる
  • 写真ハーバーランド広場の階段は、イベントの際はゆったりとした観覧席になる
  • 写真道路をまたいでビルとビルをつなぐスカイウォーク
  • 写真東西に長くのびるキャナルガ一デンの三角屋根
  • 写真レンガの落ち着いた雰囲気と木のぬくもりを感じるハーバーウォーク
  • 写真人工の運河が流れるプロムナード

情報発信基地

 神戸ハーバーランド情報センターは、ハーバーランドの心臓部であり、神戸市の情報受発信の拠点である。21世紀を先取りした情報通信ネットワークによるさまざまな情報通信サービス、「あじさいネット」による神戸市地域サービス情報の提供など、多彩な事業を展開している。神戸ハーバーランドセンタービル地下1階にある「コンピュータ アート ギャラリー」は、初心者でも気軽に楽しめるアート発見・ハイテク体験ゾーン。

  • 写真コンピュータアートギャラリーの作品。オリジナル作品の展示も意欲的に行っている
  • 写真初めての人でも簡単にコンピュータグラフィックスが作られる電子工房
  • 写真神戸ハーバーランド情報センターのコンピュータ制御室
  • 写真

    デュオこうべ浜の手とハーバーランドを結ぶ通路シティーギャラリーにある、市立博物館の美術品展示コーナー。シティーギャラリ一は神戸の芸術・文化の情報、サービスも提供するゾーン

    写真ハーバーランドの情報を求めてインフォメーションを訪れる人たち
  • 写真神戸ハーバーランドセンタービルのスペースシアターにある大型テレビ。情報センターからの各種情報が映し出される
  • 写真

    コンピュ一タ アート ギャラリーの12面マルチビジョン。迫力満点の最先端映像が楽しめる

    写真レンガ倉庫で開かれているアート展。レトロな雰囲気が絵やイラストポスタ一などによくマッチしている

パフォーマンス

 ハ一バ−ウォークの対岸でペンキ塗りをしているおじさんたち。これを見てすぐに人形と見破った人は少ない。暑いのにご苦労さん、と思いながらしばらく見て動かないことに気付く。思わず笑い出したり、感嘆した人も多いに違いない。ウォーターフロントの街並みに彩りを添える"役者"の一人である。

  • 写真高さ約45mの麦芽サイロの外壁にカッティングシールで絵を描いていく作業風景。凹凸が多く非常に難しい作業で、責任者がモナリザの絵を見ながら遠くから指示を与えていた。これも周囲に少しでもマッチさせようという配慮
  • 写真メリケンパークのポートタワーやホテルより高い信号所。実はモザイクの建物に据え付けた作り物の信号所が見る角度によってこんなに大きく見える。MOSAICは高浜フェリーターミナルに隣接するグルメ中心の複合商業施設(10月1日オープン)
  • 写真JR神戸駅からデュオこうべ浜の手へ、滝の流れ落ちる階段、海へいざなう女神のフィギュアヘッド(船首像)は、平和と船の航行安全の祈願をこめている
  • 写真ペンキ塗りの人形。殺風景な工場の風景に少しでも彩りをという配慮だろう

複合・多機能都市

 新しさと古さ、人工と自然が不思議とマッチしたユニークな街ハーバーランドは、同時に、商業、業務、文化から教育、福祉、住宅などさまざまな都市機能が優しくとけ合った複合・多機能都市である。多くの人々とのふれあいの中で、より人間性豊かで、より質の高い街にこれからどう成長していくか、楽しみである。

  • 写真総合教育センター。教職員の資質の向上、教育活動を支援する施設。教育情報センター、幼児教育センター、教育相談・心身障害児教育センターなどの機能を備えている
  • 写真

    総合児童センター「こべっこランド」の壁面に掛けられたネットアート「ハーバーランドスイミー」。ネットは縦10m、横13m、夏休み中センターを訪れた子供たちがハーバーランドのオープンを祝い、ビニールシートを小さな魚に切り抜き、これを大きな魚の形に集めてネットにした

    写真高層の住宅棟をバックに湊小学校の広々とした校庭で遊ぶ児童
  • 写真街角の電話ボックス。やさしいまちづくりの一環として、車いすでも安全で楽に出入りできるようバックミラー、手すり付き。入り口も広く、電話機も低くしている
  • 写真ハーバーランド派出所。海辺の派出所らしく、三角帆をモチーフにキャビンの丸窓をつけて、ヨットをイメージしたデザインが特徴
  • 写真産業振興センターの完成予想図。市内の中小企業等を対象に人材育成、新製品・新技術開発、マーケティング支援事業などを行う。市内産業界の拠点施設をめざしている(平成5年3月完成予定)
  • 写真

    摩耶兵庫高校。昼間利用の事業として、中学校を卒業した無職少年や高校中退者等のための青少年職能センタ一を10月1日オープンする

    写真ハーバーランドの地下にはりめぐらされた大阪ガスの地域冷暖房用配管。エネルギープラントから冷水・蒸気を供給するとともに、廃熱をプラントに受け入れることによってエネルギーの有効活用を図る

街づくりに10年の歳月

 神戸ハーバーランドの街づくりの経緯を振り返ってみると―。
 昭和57年の旧国鉄湊川駅の機能停止を受けて翌58年、「国鉄湊川駅跡地利用計画策定委員会」が設立され、ハーバーランド構想がスタートした。

10月、グランドオープン
 街づくりのテーマは「海につながる文化都心の創造」。このテーマに沿い、基本方針も次の3点に定められた。
 1)新しい都市拠点の創造
 2)複合・多機能都市としての幣備
 3)環境を活かしたまちづくり

 昭和60年着工。62年、地区の第1号施設として総合児童センターが完成し、63年には小学校、盲学校が開校。同じ年、神戸バーバーランド情報センターが設立され、平成元年、神戸市住宅供給公社住宅(メゾンビュー)の入居がはじまった。ハーバーランド公園も誕生。
 さらに平成2年、今回完成したA地区の建設がスタートし、同年、総合教育センター、レンガ倉庫レストランのオープンなどと続き、平成4年9月1日、10月のグランドオープンに先がけ晴れてA地区の街開きとなった。10年近い歳月をかけてきたこの大型プロジェクトも、いよいよ大詰めを迎えたのである。

写真
昭和57年ごろのハーバーランド地区(写真右側手前)。国鉄湊川駅は同年11月、機能停止。写真中央は阪神高速道路、左側手前は神戸駅。写真提供・阪神高速道路公団
  • 写真昭和61年10月のハーバーランド地区(同年3月、旧国鉄湊川駅跡地の用地買収完了)
  • 写真平成元年6月のハーバーランド地区。総合児童センター、市住宅供給公社住宅(メゾンビュー)、湊小学校などが既に完成している
写真
写真
メリケンパーク上空からハーバーランドと西神戸の市街地を望む。人工と自然、新旧が見事に調和した新しい"ウォーターフロントの街"が、くっきり浮き彫りされている。

神戸駅と、周辺地区のあゆみ

名実ともに神戸の都心を形成

2代目神戸駅平面図

 慶応3年(1868)神戸港開港によって神戸は急速に発展しますが、その時、旧兵庫地区と新興の居留地の中間に位置したのが、神戸駅海側にひろがる現在のハーバーランド地区です。
 神戸駅は明治7年(1874)、神戸・大阪間の鉄道開通とともに開業しました。当時の神戸駅は、三ノ宮が小ステーションと言われたのに対し、大ステーションと呼ばれ、約23・6haの広大な構内には旅客はもちろん、貨物取扱所から車両製造工場まである交通センターでした。この他、湊川神社、神戸市役所、神戸裁判所などが周辺に立地し、名実ともに神戸の都心を形成していきました。
 また、港湾の機能も鉄道棧僑ができて鉄道と港の連絡が図られる一方、高浜岸壁、弁天埠頭の埋め立てが行われ、神戸駅から居留地にかけて倉庫・商社が林立。さらに新川(明治9年)、兵庫運河(同32年)の開設につづいて、湊川付替え工事(同34年)によって、旧河川敷が新開地となり、神戸一の繁華街としてにぎわうようになります。
 明治19年には川崎造船所が設立され、三菱造船所も湊川付替え工事によって生まれた旧和田岬河川敷に進出、神戸市の一大工業集積地となるとともに、神戸駅周辺入口も急速に増えました。
 明治40年に開通した神戸臨港鉄道(灘〜小野浜間)は、昭和3年(1978)さらに神戸駅まで延伸、神戸駅の貨物取扱所は湊川駅として独立し、年間100万トンの取扱能力をもつ貨物専用駅になりました。

都心の西の核づくりをめざして
 このように、神戸駅地区は神戸の都心として成熟していきますが、昭和に入って神戸港が東へ拡張したこと、阪神・阪急が三宮に乗入れ、そごう・大丸が進出したこと等によって、都心は次第に三宮へ移っていきます。また、神戸市全体をみても、戦後合併した東部5か町に比べて、西北神地区の人口定着は40年代に入って本格化しますが、この間にも、三宮地区の都心としての機能集積は進みました。
 さらに追い打ちをかけたのが、オイルショックなどによる重工業の低迷で、インナーシティ地区の人口・産業の流出となって、神戸駅地区の都心機能を低下させる潜在的要因となりました。
 神戸の中心地がターミナル性に優れる三宮に次第に移行するに伴って、神戸駅周辺は都市活力が低下しはじめて、人口の減少、高齢化等さまざまな問題を抱えることとなり、そのため、地元では神戸駅周辺地域を以前のようなにぎわいと活気のあるまちにしようと昭和42年「神戸駅周辺開発促進連合会」を設立、積極的な運動を展開してきました。
 そのような中で、貨物のコンテナ化に伴うトラック輸送の激増等で昭和57年11月、湊川駅がその機能を停止、隣接する資材センターを含む約10・5haの広大な土地が生じ、これを取得した神戸市がこの跡地を中心に周辺地区を含む約23haについて、新しい都市拠点づくりをめざした大規模再開発事業に取り組むことになったのです。

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