178号表紙

No.178(昭和62年8月)

特集:

神戸の観光

神戸の観光

たそがれの納涼気分を満喫

 神戸の真夏の観光キャンペーン「'87ハロー!神戸サマーフェスタ」の催しのいくつかに参加して、たそがれの納涼気分を味わってみた。
 まず海では、大阪湾周遊の「ルミナス神戸」と納涼港めぐり「サマーナイトクルーズ」。市街地は、神戸サマーフェスタのメーン行事である「アメリカン・ビア・フェスタ」と「異人館ナイトツアー」、ここではポートアイランドのファッションタウンや南公園、また須磨海浜公園や海づり公園などへも足を伸ばしてみた。山は、一千万ドルの夜景を楽しむ「六甲山納涼バス」。
 サマーフェスタは、海と山に恵まれ異国情緒がいっぱいの神戸に夏休みの観光客を引き寄せようと、昭和五十七年から市や神戸国際観光協会などが中心となって実施しており、全国での活発なPR活動とともに、多彩な行事が特に若い人たちに好評で年々、観光客は増えている。

ちょっぴり豪華な船旅気分
「ルミナス神戸」

「ルミナス神戸」(三、七一〇トン、定員七百人)は午後七時、神戸港の中突堤から三時間の予定で大阪湾周遊の夜間クルーズに出港した。
 七時といえば、太陽がちょうど西の山に沈んだ直後で、あかね色に輝く空に山のりょう線がくっきりと映えて実に美しい。出港後約十五分で船は和田岬の関門から港外に出、大阪湾の中心部に向けてどんどん南下する。
 夕やみは次第に濃くなり、やがて神戸の市街地の帯が細い線のようになってしまった。大阪の光も遠くに細く輝いて見える。夜のせいか、大阪湾というより随分遠くまでやって来たような気分になる。船の揺れはほとんど感じない。海風と、久しぶりにかぐ潮の香が心地よい。
 中突堤から乗船した船客は、レストランで地中海料理に舌鼓をうったり、ビアガーデンでジョッキ片手にバンドの生演奏を楽しんだり、思い思いにちょっぴり豪華な船旅気分を味わっていた。


  • 写真「ルミナス神戸」(3,710トン、定員700人)
  • 写真オープンデッキにあるビアガーデン。バンドによる生演奏も楽しめる
  • 写真乗船風景(中突堤で)
  • 写真潮風にうたれながら甘く語り合うアベック
  • 写真広い船内ロビー
  • 写真

    地中海料理に舌鼓をうつレストランでの食事風景

    写真山から見下ろすのとはまた違った、甘く優しい神戸の夜景
  • 写真神戸大橋の下をゆっくりと進む「サマーナイトクルーズ」の港めぐり船

圧倒的に多い市外の観光客
「サマーナイトクルーズ」

 夏の夜の港ぐりはこれまでもあったが、今年は納涼観光「サマーナイトクルーズ」と銘打ち、船の二階デッキにスポットライ卜や観葉植物を施し、毎日、ディスクジョッキーを乗船させてクイズやビンゴゲームを行うなど、若者向けの企画をふんだんに取り入れた。神戸の夏の観光の標的を思い切って若者にしぼったわけだ。
 中突堤を午後六時半出港。川崎・三菱の造船所を海から見て、和田岬から船がポートアイランドに近付くと、デッキの何人かが「ホー」と声を上げた。これが人工島か、と改めて驚いたのだろう。ディスクジョッキーがインタビューを始めた。札幌と名古屋の若い女性グループ、須磨区の男性と大阪の女性のアベック、山口県から来た家族連れ…と市外からの観光客、それも若い人が圧倒的に多い。そして皆さんが「素敵です。また神戸に来たいと思います」と言っていた。
 うれしかったのは、この日はポートターミナルにバハマの豪華客船「ロイヤル・、バイキング・スター号」(二八、二○○総トン)がイルミネーションをつけて停泊しており、港めぐり船もわざわざ間近までう回をして、あで姿をゆっくり見せてくれた。同船はこの日の朝入港し、同夜十一時には次の寄港地へ向けて出港するということで、遠方の観光客はひとしおこの出会いを喜んでいた。
 午後八時、山と空の区別がようやくつかなくなったころ、船は一時間半のクルーズを終えて中突堤に帰着した。

  • 写真中突堤を後に、楽しい港めぐりへ
  • 写真満員の船室
  • 写真ポートアイランドに目を見張る遊覧客
  • 写真楽しい語らい
  • 写真デッキの軽食コーナー
  • 写真異人館も見える(ポートアイランド北公園)
  • 写真

    神戸の夜景に見入る人たち

    写真イルミネーションに輝くバハマの豪華客船「ロイヤル・バイキング・スター号」(28,200総トン)8月4日夜、ポートタ一ミナルで
  • 写真暑さを吹き飛ばして、元気よくビールで乾杯!(ポートアイランド・市民広場の「アメリカン・ビア・フェスタ」で)

生ビールでアメリカン気分
「アメリカン・ビア・フェスタ」

 昨年の「ミュンヘン・ビア・フェスト」に続く今年のビールの祭典「アメリカン・ビア・フェスタ」は、趣向がなかなか凝っている。まず入り口には丸太でトリデを築き、中に入ると、土産物店や子供の遊び場も丸太をふんだんに使ったウエスタン調。アメリカ西部開拓時代のウエスタン・タウンを、近代的な海上都市のコミュニティ・シンボル「市民広場」に再現したのだから、その取り合わせがおもしろい。
 そして二千席がずらりと並ぶ会場では、アメリカンミュージックのライブ演奏が雰囲気を盛り上げる。日曜日には鮮やかなガンさばきを披露する「ウエスタンショー」も開かれている。
 今年のビールは、アメリカの生ビール。ビールに合わせてフライドチキンやローストビーフなど食べ物も豊富。市民広場という舞台と楽しい趣向がそろい、冷えた生ビールがあればもう納涼気分は満点で、広い会塲のあちこちではサラリーマンのグループなどがほろ酔い気分で楽しそうに気炎を上げていた。なお、同フェスタ実行委員会では、この利益の一部で車いすを購入、フェスピック神戸大会に参加する発展途上国に贈ることにしている。

  • 写真石畳の広場全体がウエスタンのバンドの演奏で盛り上がる「アメリカン・ビア・フェスタ」
  • 写真涼を呼ぶたそがれ時の「陶と水のモニュメント」(市民広場)
  • 写真大阪湾が見える南公園
  • 写真ポートピアランドの大観覧車から見た夜景
  • 写真ファッションタウンの野外レストラン
  • 写真港の夜風に吹かれて(北公園で)

特製のフランクフルトに舌鼓
「異人館ナイトツアー」

 西日がまだきつい午後五時半に三宮の神戸交通センタービル南側からバスで出発、北野の風見鶏の館へ。一般公開は午後五時で終わっているので館内の見学はツアー客だけ。ガイドさんの案内でまず二階の寝室から一階の居間、食堂と順番に見て回る。居間の上下可動のシャンデリアなど七つのシャンデリアや食堂のステンドグラスは、二〜三年前の改築工事で、この建物が明治四十二年に建てられた当時の姿にそっくり復元されたものだそうだ。しばし、当時の外国人貿易商の華麗な生活ぶりをしのぶ。
 風見鶏の館から歩いてラインの館へ行き、早速、シャンデリアの輝く喫茶室で夕食。料理は特製の大きなフランクフルトがメーンのドイツ料理。異人館という場所柄がそうさせるのか、次々と皿が運ばれてくる間も話し声はあまりなく、静かな室内にフォークとナイフの音だけが心地よく響く。後で喫茶室のマネージャーに聞くと、フランクフル卜は一本が二百五十グラムもあったそうで、男性はとにかく、女性でフランクフルトとライスをきれいに食べたのは二人だけだったとか。ドイツ料理はさすがにボリュームたっぷりだ。
 食事が済むと、再びバスで七色の噴水が待つ須磨離宮公園へ向かった。

  • 写真

    たそがれ時の異人館街を行くツア一の参加者

    写真ラインの館
  • 写真風見鶏の館
  • 写真シャンデリアの輝く夜のラインの館
  • 写真夜の北野・異人館通り
  • 写真ラインの館でドイツ料理に舌鼓をうつ人たち
  • 写真

    夜もにぎわう須磨離宮公園のレストハウス

    写真滝の前の「ポセイドン像」
  • 写真夜間は七色に変わる須磨離宮公園のダイナミックな噴水。見る人を幻想の世界に導いてくれる

須磨海浜公園・須磨海づり公園

  • 写真須磨海浜公園と夕焼け雲
  • 写真

    若い人は海のにおいが大好き

    写真松林のベンチで
  • 写真

    公園のシャワーを浴びる海水浴客

    写真松の木の上にのぞく須磨海浜水族園のチタン葺きの大屋根
  • 写真魚と涼を求めて…夕暮れの須磨海づり公園
  • 写真突堤の先で

1,000万ドルの夜景に一斉に歓声
「六甲山納涼バス」

 納涼という面に限れば、神戸ではやはり六甲山。市街地と山上では五〜六度も気温が違う。しかも、中心街から一時間ほどで一気に山上へ行くわけだから、肌の方がびっくりして温度差以上に涼しく感じる。山上は風もあるので真夏でも半そでの開襟シャツでは寒いくらいだ。
 午後五時半、バスは三宮のそごう東側を出発して一路六甲山ヘ。つづらおりの表六甲ドライブウェーからの市街地の眺めもなかなかいいもので、左右の黒い山すそがすり鉢のように落ち込んでくるその先に、市街地がぽっかりと広がって見える。山の方はすっかり夕やみの世界だが、街はまだ西日を受けて明るい。暗と明のこのコントラストがおもしろい。
 六甲スカイヴィラでのジンギスカン料理が始まるころ、それこそアッという間に霧が流れてきてすぐ前の家も見えなくなった。これは夏の山上特有の現象で、いくら天気が良くても、晴れたりかすんだりめまぐるしく変化するものらしい。
 しかし食事が終わってバスが十国展望台に着いたころには、霧も晴れ、まさに宝石を散りばめたような一千万ドルの夜景が眼下に広がっていた。

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    表六甲ドライブウエ一で、観光バスの車内から市街地の夕景を見るツア一の参加者

    写真つづらおりの表六甲ドライブウエーと市街地
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    ジンギスカン料理で乾杯(六甲スカイヴィラで)

    写真きらきらと輝く1000万ドルの夜景(六甲展望パレスで)
  • 写真 夜の十国展望台
写真
輝く夜の神戸の中心街。港には「神戸開港120年祭・海の祭典」を祝って、イルミネーションをつけた船も見える(7月24日、市章山から撮影)
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