176号表紙

No.176(昭和62年6月)

特集:

地下鉄沿線散歩

地下鉄沿線散歩

(左)
市営地下鉄西神線の伊川谷駅〜西神中央駅間を走る列車

"神出富士"を常に見て……

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市営地下鉄西神中央駅一住吉神社ー雄岡山登山ロー子午線標示柱ー神出神社ー金棒池ー雄岡山ー神戸電鉄緑が丘駅(所要時間・約4時間)
・西神中央駅まで来ると、さすがに郊外という感じで、空を見上げて思わず深呼吸をしてしまう。コンコースからバスターミナルのある駅の西側に出て、自動車道の歩道をほぼ北に向かって真っすぐ歩く。高塚高校前でこの道は突き当たりになり、ここからはるか正面に雌岡山、右手に雄岡山、そして下手に西区の平野町堅田や押部谷町養田、同高和などののどかな田園風景が開けて見える。コースの差し当たっての目標は雄岡山である。

・道の突き当たり付近を注意して見ると、ガードレールの切れ目があり、小さな階段を下りるとコンクリート舗装した細い道があるので、それをたどって堅田の里へ下りて行く。細いながら道はよく整備されており、田んぼ道まで下りると、養田のバス停まで雄岡山を正面に見ながらの静かな村道が続く。

・しばらく自動車道が続いたあと、住吉神社から再び田んぼ道になる。前方の雄岡山が次第に大きく見えるようになり、やがて道の行く手の山すその民家の中に大きな杉の木が2本見えてくる。これが、雄岡山のふもとを巻いて北側へ出る山道の大事な目印だ。よく分からなければ地元の人にたずねるとよい。大杉の立つ社は今は廃虚になっているが、社の塀に沿って20〜30歩行くとすぐにしっかりした森林浴コースになる。

・雄岡山の登山口に出ると、山へは登らず、そのまま自動車道まで出て釣り堀池や金棒池を見ながら日本標準時子午線標示柱のある所から雌岡山(249m)へ。頂上の神出神社を少し下った辺りから道標に従ってなだらかな梅林を通って金棒池へ下り、先程の雄岡山登山口から山道に入る。登り同様、頂上からの下り道もしっかりしていて迷うことはない。

・このコースの特徴は、田園風景を楽しみながら、神出富士と呼ばれる山容の美しい雌岡・雄岡山を常に見て歩けることだろう。途中の昼食、休憩時間を含めると6〜7時間要するので、小さな子供連れでは大変だが、別に全コースを歩かなければならないというのでなく、どちらかの山を省くとか、場合によっては、山は見るだけで金棒池の水辺で弁当を食べて帰るだけでも、郊外の散策気分は十分に味わえるだろう。

  • 写真吹き抜けの明るいドームの東西にステンドグラスがはめ込まれている市営地下鉄西神中央駅
  • 写真西神中央駅から北に延びる車道の突き当たりのガードレールの下に整備されたコンクリート舗装の道。この道をたどって堅田の里へ下りる。前方の山は左が雌岡山、右が雄岡山
  • 写真押部谷町養田の静かな村道。近くに長福寺がある。寺には付近から出土した土器、石器など約500点を展示した考古資料館もある。
  • 写真雄岡山への登り口に立つ目印の大杉。社の白い塀に沿って細い道を少し行くと山道になる
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    細田(さいだ)の薬師堂の石仏に花を供える地元のおばあさん

    写真明石川のほとりに建つ押部谷町全域の氏神・住吉神社
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    細田の薬師堂から雄岡山への田んぼ道。会社の休日を利用して春日台(西神ニュータウン)の自宅から雄岡山へ登るという中年のご夫婦に出会った

    写真高原を行くような感じのよい車道。ため池の前方に見えるのは雄岡山
  • 写真雄岡山登山口
  • 写真雌岡山への登り口に立つ鳥居。ほんの少し登って振り返ると、美しい田園風景が遠くまで見えた
  • 写真頂上にある神出神社
  • 写真頂上の少し下にある裸石神社。良縁や安産を祈る風習がある
  • 写真雄岡山の登山道。雌岡山に比べると、こちらはやはり男性的で坂は少し急だ
  • 写真雄岡山の頂上にある祠(ほこら)。帝釈天が祭ってあり、日照りの時に雨ごいの神事が行われていた
  • 写真雄岡山の頂上からの展望。前方に細い海を隔てて淡路島が見える

素晴らしい高塚山からの眺望

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市営地下鉄西神中央駅一西神ニュータウンテニスガーデンー高塚山一農業公園(所要時間・約1時間)
・西神中央駅からワイン城のある農業公園まで、真っすぐに歩けば40分そこそこの一見なんでもないコースだが、実際に歩くと感じは随分違ってくるニュータウンの持ついわば若さを満喫しながら歩くコースで、ざん新で若々しい農業公園もこのコースにぴったりだ。

・西神中央駅のコンコースを東に出る。広々とした駅前広場を横切って歩道を進むと、信号機のある車道の交差点に出るので、これを東(右)に折れる。道路の北側は工業団地、南側は狩場台の住宅地になっており、工業団地では新しいビルの建設が今も進められていた。工業団地と住宅団地が道路一つ隔てて接し合い、それでいて違和感や騒々しさが全く感じられないのは、やはり自然環境とゆとりのある工場の適正配置、あるいは先端技術を主とした仕事の内容などによるのだろう。

・東道に沿って、住宅地との間に何面かのコートが並ぶ西神ニュータウンテニスガーデンでは、白いスポーツシャツ姿の大勢の若者たちが軽ろやかに球を追っていた。

・テニスガーデンを過ぎると、ニュータウンのシンボル・高塚山である。標高149mの小さい山だが、山上からの眺望は素晴らしい。この山があるから農業公園まで歩く値打ちがあるといえるくらいで、機会があればぜひ山上に立ち寄っていただきたい。ふもとの芝生公園から階段状の山道にかかると、わずか5〜6分で山上の展望台に着く。

・展望台からは西神二ュー夕ウンの全容が一望できる。まず南は狩場台や糀台の住宅地。西の正面に西神中央駅。北を向くと、工業団地の向こうに雌岡山が意外と近くに見える。どこから見ても、すそ野を長く引いた美しい山だ。そして東には、農業公園の色鮮やかなワイン城がはっきり美える。二ュ一タウンの若々しい息吹きが伝わってくるような景観である。

・山を下りて元の道を東へ行くと、やがて神戸加古川姫路線に出、それを過ぎ少し回り込むように舗装道路を進むと、城の門のような農業公園の入り囗が見えてくる。

  • 写真西神ニュータウンテニスガーデンと住宅街の間の緑道。テニスガーデンの右手は車道を隔てて工業団地が広がっている
  • 写真高塚山緑地
  • 写真高塚山の展望台。市営地下鉄西神中央駅、住宅団地、工業団地、農業公園…など、西神ニュータウンの全容が見渡せる
  • 写真お城の門のような農業公園の入り口
  • 写真展望台から見た雌岡山
  • 写真足取りも軽く西神中央駅から農業公園へ向かうグループ
  • 写真見るからに心のはずむワイン城
  • 写真ワイン城の中庭
  • 写真展望台
  • 写真ちびっ子広場
  • 写真バードゲージ
  • 写真ワイン・ミュージアム
  • 写真原生林をバックに建つ太山寺の三重塔
  • 写真神戸ビーフや地元産の新鮮な野菜をダイナミックに焼くワイン城での野外バーベキュー

田んぼ道や旧道を通って太山寺へ

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市営地下鉄伊川谷駅一石戸神社−保養センター太山寺−市営地下鉄学園都市駅 (所要時間・約2時間)
・見所は、いうまでもなく太山寺。田んぼ道や旧道を通って太山寺へお参りし、帰りに研究学園都市のキャンパススクェアに寄るコースである。疲れた人は太山寺前のバス停から伊川谷行きや名谷行きのバスも利用できる。

・伊川谷駅から地下鉄の高架線に沿って400mほど南東へ引き返し、田んぼ道を東に入る。電車が東西に走っている市街地の感覚では、田んぼ道は何となく真北に延びているように感じるが、地図の上では北東よりも東に近い。池の端を通り、ほぼ直線の一本道をどんどん進む。真夏のような炎天下の田んぼでは、農家の人が背を丸めて稲作前の農作業に精を出していた。伊川谷町は古くから都市近郊農業の盛んな所で、そ菜づくりのビニールハウスもかなり多い。

・神戸加古川姫路線を越え、伊川の橋を渡ると石戸神社がある。ここから道を北に折れて太山寺への旧道に入る。古い家並みはもうほとんど無くなっているが、それでも古くからの参詣道だった雰囲気は今も残っている。この道は思ったより短く自動車道と合流し、太山寺の山門前に出る。

・太山寺の境内は広く、周囲は原生林がよく茂って四季ともに味わいがあるが、新緑の今が見た目には最も鮮やかだ。三重塔の奥の伊川に架かるモダンな橋を渡って原生林へ足を踏み入れてみるのも楽しい。

・帰りは、今来た道を引き返し、神戸加古川姫路線を通って学園都市へ向かう。主要地方道といっても車の通行はさほど多くなく、街路樹のよく植栽された歩道は静かである。

・研究学園都市は、まち全体が緑に囲まれた大きなキャンパスといった感じで、ユニバードームと並んだ駅前のショッピングセンター「キャンパススクェア」に入ると、ニューファミリーやキャンパスギャルがやはり多い。既に開校した神戸市外国語大学のほか県立神戸商科大学や流通科学大学(仮称)、神戸芸術工科大学(同)といった大学が、次々と開校するようになると、ますます若々しい学園のまちとして発展することだろう。

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    石戸神社

    写真ひっそりとした太山寺への旧道
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    田んぼの中の太山寺への道。田んぼでは稲作前の農作業に追われていた

    写真田んぼの中のビニールハウス。伊川谷町は、都市近郊の農業地域として古くからそ菜づくり、花き栽塔が盛んだ
  • 写真太山寺への旧道に立つ石戸神社の石柱
  • 写真太山寺の参道。正面に三重塔が見える
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    保養センター太山寺。4月にラジウム温泉太山寺もオープンし、訪れる人が多い

    写真国宝に指定されている太山寺本堂
  • 写真太山寺の原生林と伊川に架かる橋
  • 写真学園都市駅への道。整然と並ぶ街路樹が美しい
  • 写真昼でも薄暗い転法輪寺参道の石段
  • 写真市営地下鉄学園都市駅、ユニバードーム、キャンパススクェアが仲良く並ぶ神戸研究学園都市の中央センター

多井畑厄神から転法輪寺、総合運動公園へ

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市営地下鉄名谷駅ー多井畑厄除八幡神社一転法輪寺ー市営地下鉄総合運動公園駅(所要時間・約2時間半)
・名谷駅から須磨パティオの中を南に抜け、川沿いの道を通って北須磨高校の東側の道を抜けると多井畑小学校の角に出る。学校の横をさらに南へ下り、住宅地の南側を東へ回り込むように行くと市下水道局北須磨ポンプ場がある。この構内に入って真っすぐ進む。構内といっても、通り抜けが出来るよう施設と通路の間にフェンスが張ってあるので別に気がねはいらない。ここから深い谷を越すと多井畑厄神さんの北側の車道に出る。厄神さんの厄除祭(1月18日〜20日)には参拝者が遠くから訪れるのでご存知の人も多いことだろう。

・厄神さんの南側の鳥居前の細い道から多井畑の集落に入る。集落を西へ抜け、のどかな田んぼ道、さらに新しい住宅地のつつじが丘を抜けて名谷小学校前へ出るのだが、集落の中は細い道が入り組んでいて少し分かりにくい。西への方向感覚をしっかり持って、それでも分からなければ「中山のバス停」か「転法輪寺への道」ということで地元の人に聞くとよい。集落は普通なら10分ぐらいで抜けられる。

・つつじが丘(7丁目)に入ってからも、とにかく西へ道をたどり、突き当たりを少し南下すると滑(なめら)祇園神社に出、南側の道を西へ回り込むように下って行くと、名谷小学校が見える。小学校前の自動車道を北へ突き当たり、派出所の横の細い道を少し北へ入ると転法輪寺参道の入り口がある。

・転法輪寺から神和台口のバス停までは、参道の石段の上にある石柱の所から東へ進み、2つ目の細い道を北へ下る。先程の参道の入り口まで下ってしまうと、大型車がひんぱんに通る車道を神和台口まで歩かなければならないことになる。ここは一部歩道のない非常に危険な個所があるので絶対に歩かないこと。

・神和台口を過ぎるとしばらく車道を通り、奥畑口のガソリンスタンドの横から奥畑の村道に入る。やがて大歳神社の鳥居が見え、鳥居の前の新しい舗装道路を北へ折れると総合運動公園に出る。総合運動公園では、陸上競技場(ユニバー記念競技場)の南側の、"冒険のくに"がにぎわっており、家族連れや子供たちが楽しそうに遊んでいた。

  • 写真市営地下鉄名谷駅の駅前広場
  • 写真須磨パティオを抜け、川沿いの道を南へ
  • 写真在原行平が須磨にわび住まいをした時に愛した多井畑の村長の娘、松風・村雨の姉妹が姿見に使ったといわれている井戸
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    のどかな田んぼ道を通って転法輪寺へ

    写真少し傾いた転法輪寺の道標。前方は名谷小学校
  • 写真多井畑の火の見やぐら
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    市下水道局北須磨ポンプ場の構内を通り抜ける

    写真多井畑厄除八幡神社。1月18〜20日の厄除祭には多くの参拝者が遠くから訪れる
  • 写真転法輪寺の古い石柱。前方の道の突き当たりに本堂がある
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    転法輪寺本堂。本尊の阿弥陀如来坐像は重要文化財に指定されている

    写真転法輪寺から神和台ロバス停への道
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    総合運動公園を行く楽しそうな子供

    写真公園内をゆっくり散策する人たち
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    "冒険のくに"から陸上競枝場を見る

    写真市営地下鉄総合運動公園駅前の中央広場
  • 写真大勢の子供たちでにぎわう"冒険のくに"

森林浴コースから須磨アルプスへ

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市営地下鉄板宿駅一板宿八幡神社一須磨アルプスー横尾団地一市営地下鉄妙法寺駅(所要時間・約2時間半)
・板宿商店街を北へ抜け、ダイエーの西側の妙法寺川沿いを少し北へ上がって板宿橋を渡ると、電柱の「板宿八幡神社登山道」の標示が目に入る。この標示は神社の参道に入るまで辻、辻に掲げてあるので分かりやすい。板宿八幡神社は旧板宿村の鎮守で、境内から板宿一帯が眼下に見下ろせる。

・境内の横からすぐ山道に入る。この山道は新緑の美しいとても感じのよい道で、傾斜があまりないせいか、山の中腹にある休憩所まで毎日のように森林浴ハイキングを楽しんでいる地元のお年寄りの会がある。会の名はアカシア登山会、通称は"十時会"といい、午前10時ごろ休憩所に集まり、1時間ほど休んで11時ごろに下山するところからこう呼ばれるようになったそうだ。高い木の下の涼しい休憩所で、ベンチに腰を下ろし、楽しそうに談笑しているお年寄りの姿は見るからに健康的でほほ笑ましい。

・休憩所から須磨アルプスへは、東西に北へ登る道があるがどちらを行っても上で一つになる。かなり急な坂道を登って尾根道に出、しばらく行くと横尾団地への標示があるがこれを過ぎ、2つほど小さなピークを通り過ぎると須磨アルプスの岩場に着く。

・須磨アルプスは、横尾山(312m)の東南に延びる尾根筋が花崗(こう)岩の風化した露岩地帯になっており、これがアルプス風の変化に富む山容になっているため須磨アルプス、あるいは神戸槍と呼ばれている。この日も学校の遠足でやって来た小学生の一団がやせ尾根を元気に越えていたが、この一帯はスリルを喜ぶ若い人たちに特に人気がある。

・今来た道を横尾団地の分岐点まで引き返し、標示に従って北へ少し進むと、急に樹林が切れ、横尾団地が眼下に開けて見える。南側からの登山道に比べると、団地への下りは短く、団地の外周道路を通って横尾中学の前を通り過ぎると間もなく市営地下鉄妙法寺駅に着く。

  • 写真板宿八幡神社への道しるべ。妙法寺川の板宿橋を過ぎると、こんな道しるべが辻、辻に取り付けてある
  • 写真神社への石段
  • 写真旧板宿村の鎮守・板宿八幡神社。本殿の左手から山道に入る
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    涼しい木陰で一休み

    写真登山道の小ピークから須磨アルプスの岩場を望む
  • 写真須磨アルプスの険しい岩場を行く遠足の小学生
  • 写真山の中腹で休憩するアカシア登山会(通称十時会)のメンバー。十時会は、ふもとのお年寄りの登山グループが毎日午前10時にここに集まり、11時ごろ下山することからこの名が付いた
  • 写真横尾団地への急な下山道
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  • 写真市営地下鉄妙法寺駅
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