153号表紙

No.153(昭和60年6月)

特集:

市営地下鉄延伸

研究学園都市の未来指向を強調する外大東歩道橋(斜張橋)

新神戸〜学園都市間が25分で直結

コウベグリーンエキスポ'85、ユニバーシアード神戸大会の開幕がだんだんと迫ってきました。この二大イベントに向けて、工事を進めていた市営地下鉄山手線(大倉山〜新神戸間三・三km)と西神延伸線(名谷〜学園都市間三・五km)がいよいよ六月十八日から開通します。五十二年三月の西神線(名谷〜新長田間五・七q)、五十八年六月の山手線の一部(新長田〜大倉山間四・三q)の営業開始に引き続いて建設工事を進めていたもので、こんどの開通によって、新神戸〜学園都市間十六・八kmは二十五分で結ばれることになります。
 これで研究学園都市・須磨ニュータウンと神戸の中心地・三宮地域とが直接結ばれ、他の鉄道との連絡(国鉄新幹線、同在来線、阪急電鉄、阪神電鉄、山陽電鉄、神戸電鉄、神戸高速鉄道、神戸新交通)も一段と密になります。さらに、西神延伸線については学園都市〜西神ニュータウン間五・九にkmの建設工事が引き続き行われています。また、現在建設中の北神急行電鉄(谷上〜新神戸間七・五km)が完成すると、市営地下鉄との相互乗り入れによって西北神地域と既成市街地とが直結、市内の交通網は大きく変貌し、都市機能が一段と強化されます。
神戸市営地下鉄路線図

学園都市駅近くを走る地下鉄車両。正面の駅舎をはさんで、右にコミュニティプラザの大ドーム、左にユニバーシアード神戸大会中は選手村になる中層住宅が見える

学園都市駅の北側に完成したドーム付きのコミュニティプラザ。地下鉄が開通する18日からは市民が自由に出入りできるふれあいの広場となり、またユニバーシアード神戸大会中は選手と市民らの交換行事やイベント広場として使われる

駅ビルのコミュニティの場となる庭園式の広場

市営地下鉄のシンボルマーク

 市営地下鉄のシンボルマークが決まりました。地下鉄の愛称「みどりのUライン」にふさわしく、だれにでも分かりやすく親しみをもってもらえるよう、Uをデザインしたものです"U"はU字を形づくっている地下鉄路線、英語の地下鉄UndergroundのU、そしてUniversiade(ユニバーシアード)のUです。色は、地下鉄の車体の色グリーンで、緑地の保全と緑化の推進を図っている市政のイメージを表現しています。
 また、より親しまれる地下鉄をめざして、こんどの新しい五駅のデザインの特徴は次のようになっています。
 〔山手線〕・新神戸駅=近くの布引の滝にちなんで"滝"のイメージ。コンコース壁面にレリーフ"滝"を設置したほか、壁面タイルに水がしたたり落ちるイメージをデザイン。・三宮駅="国際性と未来指向"のイメージ。コンコース壁面に、天然大理石の光壁と、美術陶板レリーフ(明治時代初期の錦絵「摂州神戸海岸繁栄之図」)。・山手(県庁前)駅="異人館"のイメージ。ホーム壁面を異人館
建築の特徴の一つ下見板張りに。

〔西神延伸線〕・総合運動公園駅="躍動感のイメージ"。ブルーとホワイトを基調に軽快感をもたせ、屋根もシャープな形状に。・学園都市駅="学生と市民とのふれあい"の駅。未来指向の外観、駅ビルコミュニティ(庭園式広場)の設置など。

  • 学園都市駅ビルの屋上から見た神戸市外国語大学キャンパス

    学園都市駅〜総合運動公園駅間の車道沿いに整備された歩道。植栽された樹木がしっかりと根付いている
  • 整備された学園多聞線
  • ユニバーシアード神戸大会のシンボルマークをかたどった"学園西橋"と中層住宅群。大会中は選手村となる

    軽快な躍動感をただよわせる総合運動公園駅。明るいブルーとホワイトを基調に、シャープな形状の屋根が特徴
  • 神戸総合運動公園のシンボルとして総合運動公園駅前の中央広場に完成したモニュメント「Date6」。六甲山と神戸港をかたどった石造彫刻と噴水を組み合わせ、世界各国からユニバーシアードに集う若者たちを彫刻の中央に交わる水で表現したもので、若者たちの"出会い"を意味して名付けられた
  • 道路の斜面にくっきりと植栽された市章
  • 総合運動公園駅とマンモス陸上競技場を結ぶ横断歩道橋
  • だんだんと形を整えてきたすり鉢型の野球場
  • 利用者でにぎわう総合運動公園テニスコート

総合運動公園駅から陸上競技場を望む

自然光がふんだんに採り入れられるよう総合運動公園駅のコンコース上部につくられた大きなガラス窓

大きな行事などの際に利用される臨時ホーム

国鉄新幹線の上を高架でまたぐ市営地下鉄路線。この立体交差は、安全のため新幹線の通らない深夜工事が実施された

陸上競技場南側付近で地下鉄路線は大きくカーブして総合運動公園駅へ。路線右側は地下鉄の車両検修基地

新幹線との立体交差にウルトラC工法

 名谷駅から西へ、白い帯のようにまっすぐに伸びる高架路線を過ぎると、神戸総合運動公園のマンモス陸上競技場が目の前に見えます。ご存知、ユニバーシアード神戸大会のメイン会場となるところで、付近には、これまたグリーンエキスポ'85の主会場の一つとなるすり鉢型の珍しい野球場が線路沿いに着々と形を整えています。
 名谷〜学園都市間三・五qの軌道工事は、高架、トンネル、平面と路線形態がバラエティに富んでいるものの、全体的には丘陵地を突っ走る、といっていいほど"じゃまもの"が少なく、都心部の密集地工事や、新長田〜名谷問のようなトンネルの難工事に比べると、それこそ"普通"と"特急"の違いほどのスピードエ事だったそうです。
 難工事といえば、名谷〜総合運動公園間の国鉄新幹線との立体交差工事がその代表です。時速二百qで走る新幹線の上を高架でまたぐため、採用されたのが「押出し工法」と呼ばれる"ウルトラC工法"。橋台の後方でコンクリートの橋ゲタを一〇〜二〇mずつ製作し、橋脚の上に設けた"すべり台"の上を押し出して渡すという特殊な工法です。しかも、新幹線の真上を渡すときは、安全のため新幹線の通らない深夜工事を実施しています。この橋ゲタの長さは約百四十mです。

  • 名谷から西へまっすぐに伸びる高架路線
  • 大きな木が見事に植栽された陸上競技場への道

珍しい"二階建て"路線

地下2階が東行、同3階が西行車のホームと、珍しい"二階建て"路線になっている三宮駅。山手(県庁前)駅も同じ"二階建てになっている

 西神延伸線の六十三億円に対し、山手線百七十七億円−。一km当たりの建設工事に要する工費を比較すると、こんな数字になります。荒野の工事ともいえる西神延伸線に比べ、都心部では、同じ地下鉄工事なのに実に二・八倍の巨額の費用がかかった計算です。
 ちなみに市営地下鉄第一号の西神線(新長田〜名谷間)は、大変な難工事といわれたトンネルエ事などを含めても一km当たりの工事費はちょうど百億円。それに比べても、一・七倍も高くついた工事ということになります。こんな工事費からも山手線の建設工事の特殊性がうかがえます。
 この山手線の特色の一つは、珍しい"二階建て"の路線になっていることです。大阪の地下鉄千日前線と近鉄のように、別の交通機関が重なり合って走っている例はありますが、同じ地下鉄の東行・西行線が上下の立体線になっているところは東京に一、ニヵ所あるだけで、極めて珍しい構造といえます。これは、地下鉄を通す道路の幅が狭く、並行路線を通す余裕がないためやむを得ず採用された苦肉
の策です。
 "二階建て"になっているのは、大倉山〜山手(県庁前)の中間から、三宮〜新神戸の中間まで。このため、三宮、山手(県庁前)の両駅は地下二五m〜二八mという深い駅になっており、両駅とも地下一階がコンコース、二階が東行、三階が西行車の各ホームという構造になっています。

  • 開港当初の神戸港の風景・風俗を紹介した錦絵のおもしろさを"信楽"で美術陶板に再現した三宮駅の美術陶板レリーフ
  • ホーム壁面を異人館の特徴の一つ、下見板張りにした山手(県庁前)駅
  • 珍しい"2階建て"路線の構造断面
    (中央区加納町4丁目付近)

"未来指向"のイメージを出す三宮駅コンコースの光る天井

天然大理石の石目模様を光で浮き上がらせた三宮駅の"光壁"

布引の滝にちなんで、新神戸駅のコンコース壁面に設置されたレリーフ"滝"

新神戸駅の広いプラットホーム

各駅の駅長室に設置されている防災盤。万一火災が発生した場合、自動的に作動する諸設備の状態がすぐに把握できるようになっている

水がしたたり落ちるイメージをデザインした壁面タイル

  • 国鉄三ノ宮駅北の市営地下鉄乗降口。地下鉄のシンボルマーク、みどりの"U"が鮮やかだ
  • 加納町3丁目交差点に設置された彫刻「家族」
  • 阪急三宮駅北側の乗降口と、整備された駅前広場
  • さんちかなどと結ばれる市営地下鉄連絡道
  • 神戸のシンボルロードとして整備されたフラワーロード(新神戸〜三宮)。新しいレンガタイル舗装の歩道には異人館や船、あじさいなどのほか、ユニバーシアード神戸大会、コウベグリーンエキスポ'85関連の"メモリアル・ストーン"がはめこまれている。
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