147号表紙

No.147(昭和59年12月)

特集:

神戸昭和史60年(上)

暗雲ただよう昭和のスタート

 まさに暗雲のただよう昭和のスタートだった。大正の末から始まった不景気の嵐はますますつのるばかりで、昭和に入ると、ついに金融界空前の大恐慌となり、鈴木商店の破産、川崎造船所の窮状へと進展した。従業員3千人の整理、神戸市からの低利融資などもあってようやく危機は回避されたが、1万数千人の従業員を通じて川崎造船と市民とのつながりは深かっただけに、同社の浮沈は65万市民にとって重大関心事であった。鉄鋼と造船のまち神戸がようやく息を吹き返したのは、昭和6年の満州事変以降である。
 8年には「第一回みなと祭」が盛大に開かれ、市民は日ごろの憂さを晴らすかのように踊り歌った。交通も発達した。市電が次々と路線網を広げたほか、神有電車、省線電車の運転開始、また阪神、阪急も相次いで地下、高架で神戸の都心へ乗り入れた。百貨店も中心地に移転し、まちに色どりをそえた。  神戸らしい新名所も誕生した。10年に山本通に開堂した神戸回教寺院は、神戸の異国情緒を増し、13年には南蛮紅毛美術を中心とする池長美術館が開館した。
 しかし、日本自体はずるずると戦争にはまりこんでゆき、日華事変の始まった翌13年、悪いことは重なるもので、神戸は阪神大水害の惨禍に見舞われた。そして後は、まるで坂道をころげ落ちるように戦時体制を強めていった。空襲の被害をのがれるためまだ幼い学童の集団疎開が始まり、女学校の生徒も戦力の一員として軍需工場へ駆り出された。徹底した空襲による破壊のなかに空腹をかかえ、身も心も疲れ果てた市民が、放心の態で空襲のない青空の下に立ったのは、昭和20年8月15日のことである。

神戸昭和史年表
―昭和元年〜20年―

昭和元年
12月25日 昭和と改元
昭和2年
2月 須磨線天神橋の跨線橋完成(わが国最初の設計)
3月 市電須磨線(東尻池〜須磨浦4丁目)開通
北丹後地方大地震。灘五郷において酒の流失3,180石におよぶ
神戸税関本館庁舎落成
4月 鈴木商店破産
大丸百貨店が現在の明石町へ移転
5月 神戸船主会発会
6月 日本銀行神戸支店開設
阪神国道開通
7月 阪神国道電車(脇浜〜西野田間)営業開始
8月 千苅貯水池堰堤かさ上げ工事完成
昭和3年
2月 普通選挙法による最初の衆議院議員選挙施行
3月 神戸国立移民収容所を開設
4月 神戸診療所が市民病院と改称
6月 諏訪山に神戸区立動物園開
11月 鉢伏山一帯の山林公園竣工
兵庫運河の高松橋完成(わが国最大の一葉式跳躍橋)
市電和田線高松橋東端から高松町まで完成し、全線開通
市電高松線(東尻池〜中之島)開通
神有電車(現・神戸電鉄)神戸〜有馬開通
この年 裏六甲ドライブウェイ(唐櫃〜西六甲前ヶ辻)完成
昭和4年
1月 神戸商工会議所の新会館開所(海岸通1丁目京橋詰)
4月 西灘村・六甲村・西郷町を合併
神戸高等商業学校(官立)が神戸商業大学に昇格
県立神戸高等商業学校が垂水町(現・垂水区)に開設
関西学院(私立)、原田から西宮上ケ原へ移転
キネマ倶楽部、初めて洋画のトーキーを興行
11月 映画館松竹座を新開地に新築
12月 表六甲ドライブウェイ完成(土橋〜前ケ辻)
神戸中央郵便局開設
この年 マージャン流行
世界大恐慌
昭和5年
4月 市電気局、バス事業始める
9月 神戸市主催の海港博覧会開催
湊川水族館開館(神戸市水産会)
10月 超特急「つばめ」が神戸〜東京間運転
昭和6年
3月 苅藻島埋立、運河完工
5月 上水道第2回拡張工事完成。長田区北部・須磨区・灘区が給水区域に入る
6月 神戸市小売市場連合会を組織(会員367名)
9月 神戸市に区制施行(灘・葺合・神戸・湊東・湊・湊西・林田・須磨の8区)
六甲山ロープウェイ開通
満州事変ぼっ発
10月 省線 灘駅西端〜鷹取駅間の高架工事完成
この年 市内の工業生産額2億2442万円で前年の63.9%台に下がる
満州事変により海運界活況を呈す
昭和7年
3月 六甲ケーブル開通
4月 神戸女子薬学専門学校(私立)、灘区に開設
中央卸売市場完成
西代に市民運動場開設
7月 全市小学校で欠食児童に学校給食を開始
昭和8年
1月 湊西区を兵庫区と改称
3月 神明国道開通
4月 神戸女学院(私立)、西宮岡田山へ移転
市電の車体色を緑色に統一し、順次塗り替え実施
5月 六甲山高山植物園開園
6月 阪神電鉄、岩屋〜三宮間(2.9キロ)を地下化
10月 そごう百貨店三宮に移り、ターミナル百貨店となる
11月 「第1回みなと祭」開催
兵庫突堤竣工
12月 市電磯上線を撤去
昭和9年
5月 六甲縦走自動車道路開通
白鶴美術館開館
7月 省線高架・電化工事完成。吹田・須磨間に省線電車運転開始
神戸商業大学、六甲台新校舎に移転
9月 中突堤完成
市電臨港国道線(三宮〜税関前)開通
室戸台風
12月 高架下に現在の神戸駅完成
この年 ネオン灯の使用激増
昭和10年
1月 市電女子車掌を採用
3月 市立海員会館完成
5月 再度山ドライブウェイ開通
7月 修法ケ原を中心とする8万坪の再度公園開園
8月 須磨浦公園開園
10月 市電東部国道線(三宮〜脇浜)開通
日本ではじめての回教寺院山本通に開堂
12月 市電にロマンスカー登場
昭和11年
3月 阪神電鉄、地下で三宮から元町まで乗り入れ
4月 布引渓谷散策路を一般開放
阪急電鉄、高架で三宮へ乗り入れ
兵庫県師範学校設立(御影、姫路両師範学校統合)
阪急百貨店開店
10月 市内観光バスの営業開始
12月 神戸銀行創立(7行合併)
昭和12年
1月 市電須磨線、須磨浦通4丁目から須磨駅前まで完成し全線開通
4月 市電板宿線(大橋4丁目〜板宿)開通
7月 神戸〜東京間に特急「かもめ」運転開始
日華事変始まる
10月 省線神戸〜大阪間の複々線完成
昭和13年
4月 市政50周年記念式挙行
5月 ガソリン・重油のキップ制実施
池長美術館開館
7月 阪神大水害
9月 大水害による市電不通区間復旧し、初発より全線開通
昭和14年
4月 市立盲学校開校
7月 国民徴用令公布
11月 日本画家村上華岳死去
この年 市立森林植物園が10ヵ年継続事業で工事始める(16年苗畑完工、育苗開始)
ラジオ体操・軍事教練が盛んに行われる
神戸市人口100万人を突破
昭和15年
3月 神戸港内貿地帯埋立工事完成
6月 神戸・横浜・名古屋・京都の4都市、全国にさきがけて砂糖・マッチの切符制を実施
10月 ハイヤー・タクシーへのガソリンの配給停止
大政翼賛会発会
昭和16年
1月 神戸市教育林、高尾山市有地(12万坪)に開設
市電石屋川線(上筒井〜原田)開通
2月 衣料の切符制実施
4月 国民学校令実施
米の通帳制配給実施
市立教材植物園完成(のち教育植物園と改称)
7月 垂水町を市に合併
海の記念日創立
12月 太平洋戦争に突入
昭和17年
4月 神戸市の電気事業、関西配電(現・関西電力)に移管
神戸市初空襲を受ける
5月 市電気局を交通局に改める
8月 関西汽船創立(神戸を中心に内海貨客定期航路を運航)
昭和18年
6月 学生の勤労奉仕を法制化
9月 防災都市に指定
11月 出陣学徒壮行会
昭和19年
3月 各新聞の夕刊廃止
6月 市電石屋川線が原田から将軍通まで延長
8月 学童の集団疎開始まる
学徒勤労令・女子挺身勤労令発布
10月 神戸商業大学が神戸経済大学と改称
11月 神戸市役所元町分庁を三越神戸支店に開設。ほかに港湾局・食糧増産部・交通局など市内各所に分散疎開
昭和20年
3月 神戸大空襲。市内の西半分が焦土と化す
5月 戦災措置および戦時行政強化のため市内8区を6区に再編成(神戸区を生田区と改称、湊東・湊の2区を廃止して生田・兵庫の2区に吸収し、林田区は須磨区の一部を吸収し長田区と改称)
6月 神戸大空襲。市内の東半分が焦土と化す
8月 終戦
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