82号表紙

No.82(昭和54年7月)

特集:

布引の渓谷

布引の渓谷 さあ布引へ。新神戸駅のガードをぬけると、道はゆるやかな上りになる

布引の渓谷

さあ布引へ。新神戸駅のガードをぬけると、道はゆるやかな上りになる



表紙写真・布引の雄滝の厳頭に立って見おろすと、今にも吸い込まれそうで足がカタカタする ゴォーという、地響のようなうなり、舞い上がる飛沫(まつ)が雨のように降りかかる

堂々たる"峡谷美"
大西雄一

  • 布引渓谷は上水道の水源として使用されており立入り禁止区域がありますので注意してください。
  • いかにも女性的な美しさを見せる雌滝。滝の前に観瀑橋があり、ここで滝水を見ていると、心がきよめられる感じがする。
  • 見事なS字型に折れ曲った谷。新神戸駅の下を流れるゆるやかな川から一歩奥へ入ると、この谷になる
  • 布引公園
  • 砂子(いさご)橋を渡ったすぐ左手に、最近「布引公園」が整備された。そこから階段を伝って谷へおりると、子どもが魚を釣っていた。まだこの辺は明るくて、やさしそうな谷だ
  • 布引の展望台から見渡す神戸の市街地
  • 雌滝の観瀑橋で一息入れる登山者
  • 暗いトンネルのような谷合いを、水は渦をまきながら雌滝へ流れ落ちる
  • 雄滝の滝壺から流れ落ちる夫婦滝。二筋の凹型のみぞがあり、仲良くならんで落ちる滝の状景からこの名前がつけられた
  • 昼なお暗い鼓滝、上の散策路からは見えない。滝音がちょうどつづみを打つかのように聞えるので、この名前がつけられた

神秘的な雄滝の甌穴


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 布引の滝は、新幹線新神戸駅の北、約百bの位置に雌(めん)滝があり、その上二百bのところに雄(おん)滝があって、その両滝にはさまれて、上から夫婦(めをと)滝、鼓(つづみ)滝がある。この四つの滝の総称が「布引の滝」である。わが国では目光の華厳(けごん)の滝、紀州那智(なち)の滝とともに三大神滝と呼ばれ、古くから神秘的な伝説がつくられた。
 このうち一番大きい雄滝は、高さが約四十三b、水は六段に折れながら下の滝壺に落ちている。そして、この段ごとに五つの水のえぐった深い甌穴(おうけつ)(横穴)があいていて、水はこの穴に入ってはまた出ていくという形で六段に折れ、白い水玉を飛ばしながら落下する。伝説によると、甌穴は上から滝姫宮、白竜宮、白鬚(びん)宮、白滝宮および五竜宮と称され、乙姫様がこれら竜宮城に住んでいて、船舶や船人を守ったり、また樹木を繁らせ、穀物をみのらせるなどして、人々を助けてくださるといわれている。
 大自然の為した雄滝の甌穴は、地質学的にも珍しいそうである。
(葺合区発行「葺合ものがたり」から)

  • 雄滝の落ち口から上流を見ると、水は何段かに折れながら、ものすごい勢いで落下してくる。この段ごとに水のえぐった深い穴があいている
  • 布引の滝を代表する雄滝。荒々しい岩ハダに水煙が舞い、容易に人を寄せつけない迫力がある
  • せばまった"廊下"を、ほとばしりながら南下する激流。この流れの下に甌穴があるが、水量が多いため上部からではわかりにくい
  • 第1甌穴。普通の滝壺の様相とはまた違う。こんな所に、どうしてこんな深い穴ができたのか、乙姫さまがすんでいるという伝説か何となく真実味をおびてくる
  • 第3甌穴

  • 一見おだやかそうな流れに見えるが、ここで足を滑らせたら、
    大人でも流されてしまうだろう

  • 目のさめるような、木々の緑を通して眺める渓流は一段と美しい
  • きれいな岩床に飛沫を上げる清流。ハイカーにもおなじみの場所だが、水量の多い日など、橋の上からちらっと見て通り過きるのでは惜しい気がする
  • 静かにさざ波を立てる布引貯水池
  • 貯水池の放水用につくられた人工滝
  • 貯水池の橋をのんびりと渡る休日のハイカー

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