55号表紙

No.55(昭和52年2月)

特集:

神戸の文化財(下)

神戸の文化財(下) 重要文化財 絹本著色鑑真和尚像の顔部分
 
  • 重要文化財 絹本著色鑑真和尚像(縦一○一・五センチ、横五五・二センチ)
     鎌倉時代の製作だが、描法は総じて藤原風の古様式によっている。鑑真和尚の像は唐招提寺開山堂の本尊が根本像で、これに基づいた彫像は数種あるが、画像としてはこれが特に優秀作である。
  • 重要文化財 大般若経巻第五十六 1巻(縦25.7センチ、横680センチ)
     天平19年(747)11月8日、唐僧善意が玄ム僧正の1周忌にあたって繕写した大般若経一部六百巻中の零本である。これと同本の巻第百九は三重県西来寺に所蔵され、重要文化財に指定されている。
  • 重要文化財 紙本墨書春秋経伝集解残巻4巻
     各巻一筆ではないが、いずれも平安後期の書写で古鈔本として貴重である。紙背には醍醐寺関係の願文、教化、祈願詞、請文、表白などが書写されており、その年紀によると鎌倉初期のものが多く、これも史料として価値がある。
  • 重要文化財 香要抄 本末 2巻
     漢籍仏典から香について抄録したもので、各項目ごとに挿図があり、巻末に保元元年(1156)書写の奥書がある。原表紙が残っており、これに外題を書いてその下に「遍智院」とある。そして「江戸医学蔵書之記」および「多紀氏蔵書印」の2朱印がある。高野山遍智院の旧蔵。
  • 重要文化財 薬種抄 本末 2巻
     香変抄と同種のもので、漢籍仏典から薬種を抄録したもの。書写の奥書も保元元年(1156)。各項目ごとに挿図があり、原表紙も同体裁である。
  • 重要文化財 紙本墨書古文孝経 1帖(縦27.2センチ横13センチ)
     鎌倉時代の仁治2年(1241)、清原教隆が鎌倉将軍藤原頼経に教授した旨の奥書がある。教隆は鎌倉幕府に仕え、関東文化の功労者の一人。1頁5行、1行11字詰で書かれており、現存の古文孝経中最古のものである。
  • 重要文化財 紙本淡彩十二ケ月山水図 池大雅筆六曲屏風 1双(各隻縦140センチ、横345.4センチ)
     各扇に1ケ月ずつ12ケ月の山水を画き、しかも一双連続の大画面となる構図で、各扇にそれぞれ題字がある。見るからに大雅一流の飄忽(ひょうこつ)自在な持質がみられ、いわゆる離合の妙を活用して興趣横溢(おういつ)の感がある。大雅遺品中の屈指の一作である。なお、この屏風には大雅が中尾九郎右工門に送った書状1通と、外に表具師吉田正因から斉藤曽左工門に送った代金受取覚書など書状3通がある。これらによれば、屏風は斉藤が中尾を仲介者として大雅に揮毫(きごう)を頼んだもので、大雅はこの時500疋(ぴき)の謝礼を受けている。
     これらの書状から屏風の製作は宝暦7年(1757、大雅35才)か、明和6年(1769、同47才)だろうが、そのどちらであるかは決めがたい。
  • 大雅が中尾九郎右工門に送った書状
  • 表具師吉田正因が斉藤曽左工門に送った書状
  • 重要文化財 一山一寧墨蹟六祖偈
    (縦87.6センチ、横29.7センチ)

     寧一山は草書においてことに妙絶を極めた。堅幅のものとしては後宇多法皇和韻詩、雪夜作が指定されているが、これは六祖偈(ろくそげ)を書いたもので晩年の作とみられているが、一山録には収められていない。
  • 重要文化財 異国降伏御祈供養注進案 一巻(縦三〇センチ、全長七九七・九センチ)
     弘安の役後、なお蒙古襲来の風評があったため朝廷では正応二年(一二八九)六月二十五日、天台座主道玄に国土安穏の祈願をさせるとともに、管領の諸寺にも下知するよう命じた。道玄は僧衆多数をひきいて二十一日間祈願を行い、七月二十一日、その次第を注進した。本書はこの時の一件をのちにまとめて注記したもので、最初に六月二十五日綸旨(権中納言忠正奉)、六月二十八日道玄書状、次に注進した供養法を書いている。蒙古襲来関係の史料として貴重な文書である。
  • 重要文化財 紙本墨書法華経(久能寺経)4巻(縦25〜26.4センチ、横194.5〜330.8センチ)
     さきに指定された静岡県観音堂の「久能寺経」の一部として有名である。料紙は表裏とも金銀の切箔を散らし、うち3巻はさらに著彩、あるいは金銀泥の文様を添加し、これに截金または金銀泥の界線を置いている。見返しにはすべて絵画がある。平安時代の製作と推定される。
  • 重要文化財 紙本墨書法華経(久能寺経)
  • 重要文化財 絹本著色白楽天像(縦94.5センチ、横43.6センチ)
     白楽天がつえをひいて吟行する様を画いたもので、図上に弘安7年(1284)祖元の賛がある。
  • 重要文化財 紙本墨画護摩壇様並三十七尊三昧耶形(縦30センチ)
     紙本墨画胎蔵旧図様および紙本墨画五部心観(いずれも前号掲載)と同様、筆致からみて建久年間(1189〜)の褝覚の転写本とみられ、源注や裏書などによって原本は智澄大師が越州の開元寺で写したものと推定される。大師の請来目録に三十七尊壇様一巻とあるのはこれに該当するのかもしれない。智證大師請来の図像本として貴重な古写本である。
  • 重要文化財 絹本著色五秘密像(縦81.5センチ、横61センチ)
     左手に五鈷鈴(ごこれい)、右手に五鈷杵(ごこしょう)を持つ。金剛薩た(さった)を中心に、背後の左側に欲金剛、愛金剛、右側に触金剛、慢金剛があり、5尊をあわせて蓮華坐上に図している。すべてに鎌倉後期の様式をそなえ、衣には金泥で精チな文様を描き、衣の線には截金を用いている。

資料提供 文化庁

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