15号表紙

No.15(昭和48年2月)

特集:

神戸クリーン作戦・人間都市をめざして

豊かさの裏側 ―神戸クリーン作戦―

人間都市をめざして

 生活のあるまち、あたたかい心のかようまち、ゆとりと生きがいのあるまち神戸―。都市の近代的機能を高めていくなかで、市民が気軽に集まって文化のかおりを満喫し、スポーツやショッピングを楽しみ、また心ゆくまで自然に接する…。そんなねらいでいま建設が進められている施設はたくさんありますが、そのなかのいくつかの完成予想図をひろってみました。

 国鉄神戸駅前から湊川神社・中央体育館を経て、ことし秋にオープンする神戸文化ホール(中央公会堂)東隣りの中央図書館に至るこの地域を、みどりと彫刻のみちによって結び三宮を中心とするショッピング街・オフィス街に対し、文化ゾーンにしようとする文化都市づくりの計画か着々と進められています。

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    神戸文化ホール

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    緑と彫刻のみち

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    国鉄神戸駅前広場

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    西神総合運動公園(完成予定昭和五五年)

     総面積が五五ヘクタール、甲子園球場のおよそ三二倍の広さを持つ運動公園づくりが、垂水区の名谷、伊川谷両町にまたがって進められています。野球場、サッカー場、ラグビー場、ホッケー場、バレーボールー・テニスコート、プール、馬場はもとより体育館、付属宿舎、レジャーランドも兼ねそなえた大規模な総合連動公園です。
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    須磨体育館(完成予定昭和四八年月)

     余暇をわたしたちの生活の中でどう生かしていくかということがいま重要な課題となっていますが、神戸市では「みるスポーツから楽しむスポーツ」をめざして、すべての市民がスポーツ活動に親しむことができるよう一区一体育館づくりにとり組んでいます。須磨区役所前の下中公園内(須磨区中島町一)にまもなく完成します。
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    垂水海浜センター(完成予定 昭和四九年四月)

     これが何かおわかりですか。実は私たちが生活のために使った水やし尿を衛生的に処理するため、垂水区平磯町一丁目の福田川尻に建てられる下水処理場です。神戸市では下水処理施設を地下に埋め、直接外気にふれずに下水処理し、地上部分には厚生年金会館やプールなど付近の環境と調和させながら、地域文化の発展に役立つような総合施設になるよう計画しています。なお、厚生年金会館は四八年五月にオープンされます。
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    神戸市高速鉄道名谷駅(完成予定 昭和五一年夏)

     須磨、垂水両区にまたがる須磨ニュータウンの「名谷団地」は、神戸市内では初めての地下鉄駅のある団地になります。地下鉄西神線が完成すると都心とはわずか十分間で結ばれ、駅舎を中心とした地区は、駅前広場やグリーンベルトを配置した緑いっぱいのタウンができ、散歩を兼ねた楽しいショッピンクもできます。
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    三宮市街地改造ビル(完成予定 昭和五一年八月)

     三宮は神戸の都心であり、国際港都神戸の表玄関にあたります。この三宮地区を都心商業地区の魅力をもった合理的なものにつくりかえる事業が、現在さんプラザ西側で進められています。このビルが完成すると、屋上の人工土地には緑地が、ビルの中にはショッピング街や駐車場、住宅、事務所、レジャー・文化施設などが整然として確保されます。(右側のビルは完成ずみのさんプラザ)
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    少年自然の家(完成予定 昭和四八年八月)

     小鳥がさえずり、澄んだ空気。緑にかこまれた市立六甲山ユースセンターのなかで小学生から高校生までを対象に集団宿泊訓練を行ない、野外活動、自然探究を通じて豊かな情緑を養おうとする施設で、鉄筋コンクリート三階建て。屋内には宿泊施設のほか、体育館、談話室も併設されます。
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    兵庫駅前ビル(完成予定 昭和四八年十月)

     国鉄兵庫駅前の山陽電鉄兵庫駅跡地に鉄骨組みも終り、威容をみせはじめているのが、このビルです。これは住宅公団と神戸市がタイアップして建設を進めているもので、完成すると二十階建て二むねの中には、ショッピング街、住宅、体育館、保育所、老人いこいの家、働く人のための動労市民センターも併設され、だれでも気軽に利用でき、ビルとビルの間の緑の広場もあわせてミニシティー(小都市)となります。

神戸クリーン作戦

人間環境都市を創造

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長尾山の谷もゴミでいっぱい

チリもつもれば…

 神戸市民ひとりひとりが出すゴミを、一か月ためると、あの二六階建ての貿易センタービルが一杯になってしまいます。一年間では、一二本ものゴミビルができるわけです。
 昔の奈良の都は、かまどから煙が立ちのぼっても、公害とは言いませんでした。ロンドンのスモッグ禍で死者が出たのは、何十万本もの煙突から吐き出された煙が空にたまってしまったからなのです。
 このように、ほんの少しならばなんでもないことでも、量がふえれば大問題になってきます。「チリもつもれば公害となる」のです。ふんじんや浮遊物質、ゴミが限界をこえて増加すると、たちまち環境破壊がひきおこされるのです。
 先ほど、一か月分のゴミが貿易センタービル一本だと申しました。が、実は、このゴミは家庭から出されるゴミだけを計算したもので、その二〇倍もあると言われる産業廃棄物を忘れるわけにはいきません。しかも、ゴミは年々ふえる傾向にあります。

神戸ゴミ戦争の非常事態

 もし、これらのゴミの捨て場がなくなればどうなるでしょう。神戸の山も町も海もゴミにうずもれるかも知れません。これでは、もう完全にゴミ戦争そのものです。
 神戸市において、神戸ゴミ戦争の「非常事態宣言」の行なわれたのが昨年の五月八日。とにかく、神戸市民のゴミの最終的な捨て場である長尾山埋立処分地が一六〇万立方メートルのゴミを放り込まれてパンクしてしまったのです。現在、拡張を見込んでの仮積み状態で何とかしのいでいますが、拡張経費も三十億円は必要なのです。
 ゴミの洪水の中で、神戸の町をまもり続けていくには、ゴミに対する発想の転換が必要です。邪魔なものとして蔑視してきたゴミを、環境の概念の中に正しく位置づけることが必要です。
 世界一美しい町神戸を実境したい、神戸の町・山・海・空を美しくしたい、との願いをこめて昨年六月五日に宮崎市長を本部長に、「神戸クリーン作戦本部」を設置し、神戸市民一三〇万人の総力をあげて随所に神戸クリーン作戦が展開されています。
 もちろん「神戸クリーン作戦」は、単にゴミ戦争対策にとどまるものではなく、いわゆる公害対策も含みますし、別に展開しているグリーンコウベ作戦とも車の両輪をなすものですが、やはり、ゴミ戦争が大きな比重を占めています。
 そして、ゴミを環境の概念の中に位置づけ、ゴミが環境を破壊しないようにするためには、ゴミを如何に減らすか、ゴミを如何にして資源利用するか、きたないゴミを如何にきれいに出すか、など、ゴミのコントロール問題を解決しなければなりません。このような観点に立って、「神戸クリーン作戦」の具体的目標を次のように設定しています。

都市生活のマナーを

(1)市役所の処理態勢の強化

 機械の改良、増強。焼却工場の建設、埋立処分地の拡充などに意を注いでいます。
 市役所が四七年度に支出するゴミ対策費は約六〇億円、昨年一二月六日に完成した緑と滝の西神工場の建設費が一五億円、長尾山埋立処分地の拡充に三○億円、布施畑埋立処分地の開設に四〇億円、そして、もう間もなく着工するであろう五番目の焼却工場は四〇億円……などと、気の遠くなるような金額を投人しなければならないのです。小中学校なら、用地備品を含めて四〜五億円でできるのに、ほんとうにタメイキが出ます。

(2)ゴミのマナーを確立

 昨年十二月一日に「ゴミの出し方のマナー」が決まり、普通ゴミと荒ゴミのマナーを推進しています。ひとりひとりが都市生活のマナーをまもるちょっとした気持をもてば神戸の町全体を明るくすることができるのです。

(3)ルール違反には厳しく

 市民ぐるみの不法投棄監視報償制度がそれです。警察一一○。またはクリーンー一〇番(331-九一一○)へ通報いただいた市民に千円の図書券が贈呈されるもので、制度発足半年間で百件以上が検挙されています。

(4)廃棄物管理計画・再資源化計画の策定

 将来のゴミ量を予測し、その対策を考え、ゴミの発生の段階からゴミをコントロールし、先制攻撃をかけようとするものです。

人間環境都市をめざして

 神戸市民の環境をまもるのは、神戸市民白身です。お互いがちょっとしたルールをまもれば、心のかよいあう詩情豊かな町になるはずです。神戸市では、神戸市民が町づくりでめざす方向を「人間環境都市」と定め、「人間環境都市宣言」が行なわれました(昨年七月三十一日)。そして、一二〇万市民がその力を結集し、環境問題に対処していく柱とするため、「神戸市民の環境をまもる条例」も公布されました(昨年八月一日)
 市民参加ー積極的、能動的な市民参加によって、ほんとうに心豊かな神戸の町とするために、みんなでがんばっていきたいものです。

力を合わせば

ゴミがゴミを呼ぶ"不法投棄常習地"で地元の人たちが11日間も寝ずの番で監視し、町を生きかえらせました。
(昨年8月、長田区四番町三丁目)

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みどりと滝がある環境局西神工場
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