14号表紙

No.14(昭和47年12月)

特集:

神戸の文化財(下・西北神地区編)

神戸の文化財〈西北神地区編>

自然のなかに

 西北神地区の田園風景にとけこんだ文化財は、市街地とはまた違った趣がある。たとえば「箱木千年家」で知られる箱木家住宅は、それこそ歴史の遺香をかぎながら当主の箱木さんが現在も起居しているし、今はひっそりと神社の境内にある「農村舞台」の前に立つと、ここで村同士がきそい合って芝居を楽しんだ往事の農民の姿がしのばれ、山すそにかすむ部落を思わず見渡してしまう。また朝日に輝く緑の境内や社殿、夕日に映える荘厳な三重の塔など、自然の美しさが文化財の重みを一段とましているようだ。

重要文化財 木造 十一面観音立像 平安後期(兵庫区山田町福地一〇〇 無動寺蔵)
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如意寺の近くに点在する石仏
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県指定名勝 安養院庭園 桃山(垂水区伊川谷町前開258)

 立石や岩を組み合わせた立体構成で、水を使わずに、流水の趣をあらわした枯山水の庭
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重要文化財 大日如来坐像 重要文化財 阿弥陀如来坐像 重要文化財 釈迦如来坐像 重要文化財 十一面観音立像

 すべて木造 平安後期(兵庫区山田町福地100 無動寺蔵)
大日如来(右から2体目)の両脇侍にあたる阿弥陀如来(右端)と釈迦如来(左端)はともに一木造りで力強いが、なかでも釈迦如来像は一段とすぐれ、衣紋の曲線や刀法の鋭さ、あるいは森厳で意力に満ちた相好もすばらしい。本尊の大日如来は、巨大な丈六の坐像として県下に類例のないものだが、手法には地方的な色彩が加わり、他の像とは違った作風をみせている。
 この3尊像の前に立っている十一面観音立像(左から2体目、1ページ参照)は、ゆたかな気品と意力に満ちた相好が特徴。像高は大日如来坐像278.5センチ、阿弥陀如来坐像119センチ、釈迦如来像120.1センチ、十一面観音立像150.4センチ
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重要文化財 (中村)八幡神社三重塔 室町 (兵庫区山田町中宮ノ片57)

 全体の姿体が整い、細部の手法が優秀で相輪・仏壇などに見事なものがあり、室町時代中期における塔婆建築の優作といわれている。
楽しそうに語らう農婦(左手は中牟田八幡神社)
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